南部駒賞

 ここ数年、南部駒賞は岩手競馬2歳最強決定戦にふさわしい、圧倒的なチャンピオンの戴冠が続いてきた。震災の影響で盛岡での開催となる今年もその傾向は変わらず、地元のダート6戦でつけた着差の合計が50馬身を超えるという傑物、アスペクトが登場。一昨年の勝ち馬ロックハンドスター(21戦11勝、岩手三冠・桐花賞など)や昨年のベストマイヒーロー(10戦7勝、ダイヤモンドカップなど)と名を並べ、翌年以降の飛躍への序章とすることを目指す。

 相手は地元馬なら実績的には若駒賞・知床賞と2戦連続でアスペクトの2着を確保したエスプレッソが筆頭だが、それよりは道営から遠征の3頭の方が格上だろう。とりわけヘヴンズパワーは1000m戦とはいえ、札幌遠征ではアスペクトの9着に対して0.9秒差をつけた2着で先着。前走もOP戦を危なげなく勝ってここに臨んでおり、距離と坂を克服できればアスペクトを倒す力は十分にある。売り出し中の若手、黒沢愛斗騎乗のカンタベリーナイトも、クラカルメンを物差しにすればケイムホーム賞は悪くない走り。ただし1700戦では2戦していいとこなしで、こちらも距離の不安は否めない。逆にグランデスボスケは血統的にも走り的にも距離延長は歓迎そうで、上記2頭を逆転する目もないわけではない。

 この3頭の順番付けは実に悩ましいだけに、馬券的にはガミ覚悟で手広くいく。三連単アスペクトの頭固定、2着に道営の3頭。そして3着には道営3頭に加えて、地元から若駒賞3着のリアルサンボーイを穴で加える。前走は追い込んでエスプレッソに0.2秒届かず3着だったが、前走より間違いなくペースは速まるだろうから追って逆転の目に期待したい。

 しかしロックハンドスターにしろベストマイヒーローにしろ、2・3歳時は地元ではほぼ敵無しを誇った一方、他地区への遠征では今一歩成果を残すことが出来ていない。アスペクト自身がロイヤルスキーの肌にティンバーカントリーと典型的な早熟配合というのも気にかかるところで、同じく岩手で走った兄弟であるアテスト(フォーティナイナー、2003年。31戦4勝、全日本2歳優駿2着)・スニーク(ティンバーカントリー、2008年。9戦3勝)はどちらも早枯れの観がある成績で終わってしまった。芝でイマイチもダートで無双という戦績からは、3年前の勝ち馬で東京ダービーでも0.3秒差の掲示板となったワタリシンセイキ(15戦7勝、最近岩手に戻ってきたようだ)が思い出されるが、同馬を超える戦績を今後残すことが出来るだろうか。地震後経営的には一息ついた岩手競馬をさらに盛り上げる為に、今は1頭でも多くのスター・ホースが求められている。ここはいつも通り、来年以降に期待が持てる見事な勝ちっぷりを見せて貰いたい。そんな期待の混じる馬券である。

カンパ→ 乞食100