第41回北海優駿

 この世に数ある三冠競走は距離体系にもそれぞれ個性があるものだが、こと現在の道営競馬の三冠路線に関してはまともに機能させる気があるのか大変疑わしいところがある。とりわけ一冠目の北斗盃がここ10年来スプリント戦として施行されている上に、2009年から旭川閉場の影響を受けて王冠賞が門別・2600mの長丁場へと衣替え。結果、1200→2000→2600と、タケシバオーばりの万能さが要求されることになってしまった。まあ、スプリント戦線に関しては5月から重賞・エトワール賞を始め古馬混合戦に出走できるし、かつての岩手のように、3歳時は各距離にそれぞれ重賞を設けるのもひとつの手ではあるだろう。それになんだかんだで、2010年には道営が誇るアイドルホース・クラキンコがしっかり三冠を達成しているんだなぁ。偉いぞ、キンコ。凄いぞ、倉見牧場。改めて、ここでの全弟・クラグオーの回避は本当に残念であるというほかない。

 また道営三冠の問題点は距離体系だけでない。今回の出走表を眺めてみてもわかるように、昨秋以来の休養開けで1・2戦しかしないまま、そのままダービーへと突入してしまうのである。2歳時にお互い戦ってきたライバル馬の多くが抜けてしまう道営で、新たにクラシックとしてのストーリーを組み立てるにはこの間隔は短すぎる。やはり冬期休業を挟む北の競馬場が、この時期にダービーをやるというのは色々と無理があるのではないか。かつては秋に三冠路線の絶頂をあわせてた道営と岩手が諸々を春に変更したのは――岩手なんて40年の歴史を誇った不来方賞を放り出し、ダービー格をダイヤモンドカップに付け替えてしまった――このダービー・ウィークに向けての日程調整のため。全国共同の動きとして行ってこそのダービー・ウィークではあるのだけれど、これは地方競馬が肝心の地方色を無視してしまった弊害だな。逆に金沢などは東海ダービーに枠を貰っているとはいえ、MRO金賞――一応ダービー格なのか?――あg現在も8月末に開催されているあたり面白い。

7.2-13.2-13.3-12.7-11.9-13.3-13.3-13.3-12.6
 さて、ここで中心になりそうなのが北斗盃2着からトライアルのカジノドライヴ賞を圧勝して臨むミータローだ。2歳時から川崎・鎌倉記念3着に水沢・南部駒賞2着と各地の重賞で活躍してきた実績もさることながら、このカジノドライヴ賞では自らよどみのないペースを作りながらも、ムチを入れてからの突き放し方が尋常ではなかった。それもそのはず、最後の1Fを12秒台でまとめられては後ろからの馬はそりゃたまったものではない。あんなレースを見せられたら距離の不安など起こるはずもなく、南関東時代の戦績を考えると遠征してきたヴィクトリータイムあたりでもまったく相手にはならないはず。絶対の本命視が妥当だろう。また最後は突き放されたとはいえ、道中ミータローとほとんど併走し続けて2着のライプメインも、ここは当然馬券の中心となる。

7.4-13.4-13.7-13.1-12.9-13.0-13.3-13.0-12.8
 別路線組も混沌としているが、その中でも未だキャリア4戦のレオニダスに怖さを感じる。前走は大外を回りながらもそつなく抜け出しまとめており、上がりの時計も非常に優秀だ。もともと1200m戦で忙しすぎた馬なので、1700m戦で変わり身を見せたのは大きな収穫。さらに距離が伸びるここでは、台風の目になる資格は十分と見る。前走の上がりという意味ではストロングサンデーも悪くはないが、こちらは道中のペースが
7.1-11.4-13.6-13.6-13.7-13.1-13.7-13.0-13.0
とドスローからのものだけに評価が難しい。2歳時よりは馬体・レースぶりどちらも成長が著しいとはいえ、前々走も時計自体は平凡なもので掲示板以上はなかなか厳しいか。船橋から遠征のヴィクトリータイムも、前走船橋らしい速い流れで3着に残ったのは立派だが、粘り腰にやや欠ける印象。最後まで上がりが要求される、今の門別が合うとはあまり思えない。そのほか道営所属馬は上位馬と既に勝負付けが済んでおり、改めてここで手は出しにくいか。

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<まとめ>
◎11番ミータロー
○10番レオニダス
▲5番ライプメイン