第44回高知県知事賞

 2013年の競馬も、いよいよ明日大晦日の開催を残すだけとなってしまった。良いことが起これば悪いこともあり、あれこれと話の種は年中尽きることがなかったが、中でもよさこいナイターこと高知競馬場の売上面での躍進ぶりは目を見張るほどであったように思う。JRAPAT発売による売上増は全国的に見られたけれど、こと高知に関しては中央競馬が終わったあとの「もうちょっとだけ」需要を見事にキャッチ。1日当たりの平均売上はついに1億円の大台に乗り、ここのところは同日の佐賀や岩手競馬よりも売上が高い日すらでてくるほどだ。かのハルウララ騒動やナイター開始前の状況を思い起こすに、まったくもって隔世の感を禁じ得ない。雑賀正光・田中守両調教師が所属馬を積極的に交流競走へ持って行くことで地道に名を売った成果でもあるだろうし、騎手の個性が豊かなのも高知競馬の楽しみのツボ。組合側が手作り感のあるファンサービスに熱心であるのも、この業界では希有な例だといえるだろう。

年の瀬には、出戻りのエプソムアーロンが兵庫ゴールドトロフィで2着と好走。
 そんな高知競馬の勢いを反映するかのように、今年の高知競馬年末の大一番・高知県知事賞には発走が待ち遠しくなるようなメンバーが揃った。ハリマノワタリドリが兵庫の雑賀伸一厩舎にトレード(?)され、格からすれば上位のタンゴノセックやマチカネニホンバレ、ナムラハンター、ザクあたりもここには出走せず。それでもこれだけのメンツが揃うのだから、高知もほんとうに層が厚くなったものである。そして地味に賞金の方も、昨年から1着賞金が15万円上がって150万円へと増額された。ほんの少しずつではあるにしろ、競馬場が元気になっていくのが感じられるのは嬉しいものだねぇ。

13年浦和記念。12.0 - 11.7 - 13.2 - 13.0 - 13.2 - 12.8 - 13.0 - 12.2 - 13.1 - 13.4(2:07.6)
 さて、元名古屋A級のバーンバーンバーンや栄城賞4着の3歳馬コパノエクスプレスもいるが、やはり本命は統一グレード競走でもお馴染みグランシュヴァリエを推してみたい。8歳になった今年はズブさが目立ち、春先にザグを重ねて差し損ねるなどさすがに衰え始めたようにも感じる。それでも、浦和記念で3着のエーシンモアオバーとの着差を最後まで詰めたあの走りは、そうそう真似できたもんじゃない。前走は前を回った中西にコーナーを絶妙な巧さで外へと振らされ、珊瑚冠賞はスタートで出負けしたロス分と敗因もはっきりしている。逃げる馬ではないから、赤岡から永森に乗り代わるのも追える分だけプラスのはずだ。昨年の走りから見ても2400の長丁場は願ったり、高知の総大将の座はまだまだ容易くは譲れまい。

愛媛県いしづち特別。マウンテンダイヤ1着、2着はグランシュヴァリエ
 前走でグランシュヴァリエを下したマウンテンダイヤは、中央から2戦未勝利のまま転入すると昨年元旦に高知デビュー。以来2年間でここまで22戦20勝2着2回と、その先行力を武器にして完璧に近い戦績を残してきた。時計からしてこのメンバーに入ってもまったく見劣るところはなく、対抗評価は外せない。この二頭のお相手だけれど、ここまで人気筋を挙げたのでヒモにはちょっぴり頭をひねって、中央500万下時代はダートの長距離ばかりで走っていたウォーターデュークに期待してみよう。他馬がバテてしまう展開ならば、適性の差で棚ぼた的に馬券内へとはまり込む可能性は十分に考えられるはずだ。福山競馬場最後の日にメインのファイナルグランプリを勝ったビーボタンダッシュは、道営シーズンも終わりになってようやく復調の気配がみえた。距離の面でも、福山大賞典(2600m)でダイワシークレットの2着という経験がある。とはいえ、高知所属馬との交流競走だった大高坂賞ではグランシュヴァリエに2.7秒差をつけられる大敗を喫している。果たして逆転まではどうだろうか。

第6回ファイナルグランプリ。このファンファーレももう聞くことはなくなった。
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<まとめ>
◎11番グランシュヴァリエ
○5番マウンテンダイヤ
▲3番ウォーターデューク
△9番ビーボタンダッシュ