北より

 いくら馬が寒さに強い動物といっても、積もりに積もった雪の中で競馬をやろうというのは難しい。だいたい、客にしろ乗り手にしろ、人間の方が寒くてたまったもんではないだろう。だから、ホッカイドウ競馬は11月半ばにはその開催を終了してしまう。競馬場と厩舎はそのまま育成施設として稼働するほか、競走馬たちも一部を除いて農閑期のおっちゃんらよろしく、走る場所を求めて全国各地へと散っていく。本日の浦和メイン・クリスマス賞(B3以下)では、そんな出稼ぎ労働者の1頭、単勝1.5倍の大本命ファルコンクロウが期待に応えて見事に勝利を収めた。これで、ついに転厩以来4連勝である。正直これ以上相手が上がるとどうかという部分もあるが――今回だって、ご存じマイレディーキセキが逃げ残ってしまう展開だ――、夏に札幌の芝2600m特指で走ったほかはデビュー以来始めての道外遠征。思った以上の収穫を上げたようで、より逞しくなって帰って来る雪解けの季節を、道営の関係者も心待ちにしているに違いあるまい。

 2Rでは、これまた道営からの転厩初戦のモルフェハウスが1着。こちらは、乗り手も遠征組の五十嵐冬樹騎手だ。道営で倉見牧場と並んで冠馬主で有名なのが「モルフェ」軍団の並河賢一郎氏だが、その彼が事実上のプライベート種牡馬として繁養しているのが本馬の父モルフェデスペクタ。。デヒア産駒の○外で、02年のバーデンバーデンCを勝っている。これまで4世代で計34頭の産駒が走り、その全てがモルフェ冠だからなかなか大事にされているようだ。ここまでの稼ぎ頭は門別の認定戦を勝って中央500万下でも好走したモルフェキングだが、モルフェハウスは道営時代はともかくとして今回の走りは時計面でも展開面でも稼ぐ目処はそこそこたった格好。今後次第で、親父の代表産駒筆頭に名乗りを上げることも十分あるとみるがどうか。

 一方で日本海側を襲った寒気の影響により、金沢競馬の今年度最終開催は明日へと延期。正直、本当に明日はできるのんかいとも思うのだが。例年通り最終開催前に抜ける馬が多く、明日の開催は小頭数ばかりのことだし……なお、こちらは東海2場への出稼ぎが通例。最近は在籍馬のレベルも上がっているだけに、馬券の上でも悩ましい。