第43回東海ダービー(SPⅠ)

 名古屋競馬名古屋市港区)は3日、2012年度決算で4700万円の実質赤字になると、愛知県競馬組合議会の臨時会で明らかにした。単年度の実質赤字は09年度から4年連続で、累積赤字は約40億円にのぼる。県などが設置した経営改革委員会は「13年度の実質黒字化」を存続の最低条件としており、管理者の大村秀章知事は議会で「税金で維持するのは筋ではない。赤字がひろがるのなら、ある時点で見切りをつけるのは選択肢の一つ」と廃止可能性に言及した。
 12年度の馬券売り上げは前年度比3%増の約151億3000万円。電話・インターネットでの売り上げが同29.3%増の約57億5300万円と大きく伸びたが、業者への手数料(11〜16%)支払いで収益率が低下した。実質赤字だが、経営再建用の基金約4800万円を充当し、決算上は約100万円の黒字にした。
 県競馬組合は14年度に払戻率を下げるなどの方法で黒字化する計画だった。だが経営改革委員会が4月、13年度の実質黒字化が必要と表明したため、13年度の黒字化が急務となっている。同競馬は13年度、中央競馬の馬券販売を開始するなど増収策を打ち出しているが、県競馬組合は「さらに経費削減などを進め、実質黒字化を達成したい」としている。
 名古屋競馬は県と名古屋・豊明両市で構成する県競馬組合が運営。組合議会は今年3月、14年度以降の実質赤字が見込まれる場合、事業を廃止するよう求める決議案を可決した。【高橋昌紀】
出典:名古屋競馬:実質赤字で廃止可能性も

 ダービーウィークもまっただ中に発表されたこの名古屋競馬場の廃止記事。名古屋はこれ以上賞典費を削れる余地もほとんどなく――まあ、せいぜい交流重賞格返上くらいか――、売上から言っても今年5000万円も収支を改善するのは至難の技である。もともと主催自治体のやる気のなさが目立っていたこともあり、このままでは年度内でも廃止もかなり濃厚な情勢となってしまった。しかしここ数年で廃止された荒尾・福山と異なり、中京経済圏を背後に擁する名古屋競馬場が廃止となれば全国へ与えるインパクトも大きい。現在は同じ東海ブロックとして名古屋競馬と隔週開催を行っている笠松競馬場も、単独開催となると週2〜3日の毎週開催に変更せざるを得なくなる。中央競馬にとっても、名古屋には2勝出戻りを目指す3歳馬が毎年多く転厩するだけに、馬の流れに与える影響もこれまでの廃止例とは桁違いなものとなるだろう。まあ大抵の馬は中央復帰したのちもたんなる手当泥棒になるだけなのけれど、近年に限っても道営から出戻って帝王賞を勝つまでになった、ゴルトブリッツのような例もいることはいる。なんとか踏みとどまって欲しいところだが……なまじ、土地を売れば累積赤字を解消できるだけに難しいかねぇ。

名古屋競馬場で開催された2009年のJBCクラシック(勝ち馬:ヴァーミリアン)。

 さて、下手すれば最後の開催となりかねない43回目の東海ダービー。本命は前走・のじぎく賞でユメノアトサキに迫ったウォータープライドに期待したい。やや掛かりの遅いところがあるが、その分最後の最後まで脚を伸ばす走りは1900mになってこそ生きそうだ。金沢からの遠征馬がいることを差し引いても、今回は2頭しかいない名古屋競馬デビューの出走馬のうちの片割れでもある。意外なことにダービーは未勝利のベテラン・児島真二騎手と所属・塚田隆男調教師とあわせて、地元の意地を是非とも見せて欲しいところ。

 そして相手の方だが、やはり駿蹄賞の1・2着組が中心となるだろう。直線入り口で口向きが悪く手間取った分、エストレーモは最後の最後までよく伸びていた。距離延長を考えると気性に問題があるのはよろしくないが、とはいえもう100m伸びるとなるとゴールドブラザーこそよほど上手く乗らなければ難しそうだし、ホウライジェントルその他を差し損ねることはあまり想像できそうにない。正直信用にはおけないが、消去法的に対抗視するほかあるまい。と、ここまで書いてこのレース、大いに荒れそうな予感がしてきた。かといって、目立った穴馬はぱっと見た所思いつかないなぁ……さすがに金沢勢は力が足りず、強いていえば内枠の牝馬2頭くらいだろうか。

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<まとめ>
◎6番ウォータープライド
○11番エストレーモ
×2番ピッチシフター
×1番ユーセイクインサー