Daily Telegraph――At First Sight 、メルボルンカップにて欧州の遠征馬を退けるか

メルボルン・J A McGrath

 オーストラリア人はこのように問うだろう。誇るべき競馬を巡る素晴らしい環境を備えた自国最高峰のスポーツイベントへ、なぜ外国馬達が乗り込み続けるのだろうか、と。

 それに対するシンプルな解答は「自前のステイヤーを育て始めること」だろう。

 土曜行われたLexus Stakes(GⅢ・2500m)を3馬身差で勝ったNiwot(父ガリレオ)や、かつてはMichael Stoute卿(愛の大調教師)に管理されていたMackinnon Stakes(GⅠ・2000m)勝ち馬Glass Harmonium(父Verglas・母父Darshaan)に、それほどの価値はない。両馬とも火曜のメルボルンカップに登録しており、フレミントンの大レースではすぐさま支持を受けることになるだろう。Niwotは公的にはオーストラリア産馬だが、そのステイヤーとしての才能はその父であり、至る所で記録を塗り替えている欧州馬ガリレオの影響するところが大きい。

 実際のところ、心配する必要はない。過去18年のうち、Melbourne Cupで外国馬が勝利したのはたった4度でしかないのだ。だが昨年フランス調教馬Americainが勝利したことで、流れが勢いづき始めているように思える。今年はターフのうちほぼ半分が、豪州以外の調教馬によって占められた。

 Luca Cumaniは彼の管理するBauer(1)が除外されたことで非常に落胆した。彼はこの芦毛ステイヤーが充実していたと考えていたのだが、残るDrunken Sailor(2)とManighar(3)に頼らねばならない。Bauerの除外の一方で、たんなる1勝馬であるSaptapadiが出走することはいくらか物議を醸している。ただし、レーティング上ではSaptapadiの方が5ポンド上なので、議論の余地はない。また、だれも同じくMoyenne Corniche調教の2番枠、Brian Ellisonに疑義を呈することはないだろう。過去2度に渡りMelbourne Cupでは好機が訪れないでいるものの、いまだ人気の一角を占めている。

 2マイル戦であるのもかかわらず、メルボルンカップで枠番は重要だ。昨年の勝ち馬Americainは15番から、そして続く今年のフランスからの遠征馬Dunaden(4)は13番に入った。Mark Johnston調教師のJukebox Jury(5)とFox Hunt(6)はそれぞれ6番、19番と好枠だが、同様にゴドルフィンの2頭、Lost In The Moment(7)は3番、Modun(8)は5番とこちらも好条件となった。

オーストラリアの競馬ファンは、来週の土曜日おこなわれるBreeders’ Cupに対しても大いに関心を持っている。昨年のMelbourne Cup3着馬So You Think(9)がクラシックに登録しており、現在は Aidan O’Brien調教のもと初ダートへ挑もうとしているからだ。オブライエンがどれだけ自信を示そうとも、やってみるまでどうなるかはわからない。また、Goldikovaがマイル4連覇を通じてその強さを示すことも期待されている。この偉業は、彼女を全時代を通じて最高の牝馬の1頭とするだろう。

(1)25戦7勝 主な勝ち鞍:Geelong Cup(GⅢ・芝2400)
(2)41戦11勝 主な勝ち鞍:Coutts Glorious Stakes (GⅢ・芝2400)
(3)20戦6勝 主な勝ち鞍:Qatar Prix Chaudenay (GⅡ・芝3000)
(4)19戦5勝 主な勝ち鞍:Geelong Cup (GⅢ・芝2400)
(5)21戦9勝 主な勝ち鞍:The Irish Field St. Leger (GⅠ・芝2800)など
(6)15戦5勝 主な勝ち鞍:Deutsches St Leger (GⅢ・芝2800)
(7)17戦4勝 主な勝ち鞍:Aquarius Trophy (OP・AW2200)
(8)8戦3勝 主な勝ち鞍:September Stakes (GⅢ・AW2400)
(9)19戦12勝 主な勝ち鞍:Irish Champion Stakes (GⅠ・芝2000)など。昨年までオーストラリア調教、その後移籍。
(10)26戦17勝 主な勝ち鞍: Breeders’ Cup Mile(GⅠ・1600)など。

元URL:http://www.telegraph.co.uk/sport/horseracing/8857663/At-First-Sight-can-repel-European-raiders-in-Melbourne-Cup.html

今年もメルボルンカップの季節ですね。日本馬は今年は参戦なし。