2013年度2歳馬血統診断No.3 フレンドファミリア、ソードオブホロウ

No.6 フレンドファミリア(牡馬 北海道・柳沢好美厩舎 社台ファーム生産)

 6月20日門別競馬第4レース・認定フレッシュ戦で勝ち上がり。2006年のジャパンダートダービーを勝ったフレンドシップの全弟であるから、本来は中央競馬で卸されてもおかしくないところ。それがおなじみ社台オーナーズクラブから募集されての、道営デビューとなっている。有力馬の寡占などあまり面白くはないのだが、せっかくだからぜひとも来年の南関クラシック戦線で大いに活躍して貰おうじゃないか。……が、まだまだ幼さが残る印象。ちなみに能試でも物見をして大凡走をやらかしたとのことで、レース本番においても追ってからの手応えは随分と鈍い。まあ、それでもなんとか最後の最後で差し切ったことだし、時計の方も及第点の水準ではある。今後の成長に期待しよう。
 さて、全兄がGⅠ勝ちをしている血統表――蛇足ながら、輸入前のアメリカでもこの2頭は配合されているので本馬は全兄弟の3頭目。ただし、アメリカ生まれの長男の成績は2勝止まりだった――をうんぬんするのもなんだが、見ての通り本馬は基本に忠実な、Hold Your Peace≒Yes Dearの2分の1相似馬クロスが試みられているようだ。その周囲を固める血統はMelbroneが4本あるようにMatchemが目立ち、さらにエクリプスの中でもHimyer(Peter Pan・Domino)やRock Sand(Man o' Warの母父でもある)の様な傍系が、5代目以降で多く交わる構成となっている。一見もののついでのように見えるNorthern Dancerのクロスも、この中ならばアクセントとして現代っぽさを添えるのに一役買っているか。しかしまあ、改めて見るとTouchstoneもSir Herculesも経由しないWhaleboneのラインを2本も持っているなんて、フレンチデピュティってのはなかなか面白い血統だなぁ。

No.7 ソードオブホロウ(牡馬 船橋・林正人厩舎 ストロベリーフィールドファーム生産)

 今年度からライラックデビューの愛称がつけられた、6月21日の船橋競馬場第5Rの新馬戦にて1着。しかし時計的には平凡だし、近親にこれといった活躍馬も見あたらない。かなりの遠戚に鈴木伸尋厩舎に所属し04年の福島記念で16番人気から3着と健闘したラヴァリージェニオや、種牡馬としてシヨノロマン・サンキンハヤテを出したリードワンダーが見つかる程度である。または3代母タツブミサキとマルゼンスキーの子で85・86年と瑞穂賞を連覇しているマツドマツクスが、母母ファションレディーと4分の3兄弟という点でみるべきところがあるくらいか。配合的にも、いかにも地方で走るタフなダート向き血統といった以上の印象は持ちにくい。
 けれども父であるホールウォーカーの経歴が面白く、その現役時代の成績は南関東で4勝止まりと平凡というのも憚られるもの。ならばかのマチカネイワシミズよろしく近親に活躍馬でもいるのかと思えば、母こそ名古屋競馬の活躍馬だが血統的にもほとんどみるべきところがないのだから逆に恐れ入ってしまう。まあ、当然普通は引き取り手などないのを馬主のプライベート種牡馬として現在まで繁養しているわけで、これだけなら馬主の酔狂でほかに例がないこともない。だが、既に昨年デビューした初年度産駒の3頭は、3頭とも2歳の内に南関東での初勝利を達成――失礼ながら、いずれも決して質のいい肌馬ではない――。そして2世代目となる本馬もしっかり勝ち上がってしまったのだから、じつのところそのポテンシャルは相当なものであるのかもしれん。今年の2歳世代はもう1頭、現時点での稼ぎ頭シャンタル(林正人厩舎・13戦1勝・収得賞金262.1万円)の全妹が控えており、来年デビュー予定の現1歳馬も3頭と当面の駒は揃っている。ひとまずは馬主の自家生産以外の産駒を輩出することを目標として、父の名を挙げるためにも本馬にはぜひとも2勝目を期待したいところだ。