第49回兵庫大賞典


 第二回の宮崎生まれ・タガミホマレからサラ混合元年を制したサンバコールへと至る栄光のアングロアラブたち、そしてサラブレッドのホクザンフィールドロードバクシンチャンストウライアルドラゴンさらには昨年のオオエライジンと、兵庫大賞典の勝ち馬には園田競馬が誇る歴代優駿らがその名を連ねている。今年度は園田競馬の命運を賭けたナイター開催での施行となったが、青色LEDで飾り立てられてたスタンドを背にして、じつに園田らしい見ごたえのある競馬を見せてくれた。

 勝ち星は単騎で逃げた時だけのプニプニヨークンが自爆覚悟で先手を主張し、人気のキムタケとホクセツサンデーは同厩で共倒れるのを嫌ってか、素直に下げて中段からの位置取りへ。3コーナーまですら持たなかったプニプニヨークンの失速を誰一人逃さず、ロングスパートで捲くり合うタフな流れのレースとなった。これはホクセツサンデー絶好の展開・・・・・・と思いきや、元より「切れ」のスピードよりは持続力の方がウリの馬である。誰よりも早く動き、かつ最期までジリジリ伸びていたのはさすがだが、4角出口で前を捌けなかったのも効いてか4着まで。掛かり自体は一番よかったエーシンアガペーが一旦は直線抜け出し、通過順は2番手ながら、実質ゆったりペースを刻んで逃げていたダイナミックグロウがどうにかその後ろを死守。そこに上がり37.1の末脚でエリモアラルマが大外強襲し、ゴール前で差し切った。とはいえ、さすがにレッドゾーン・ニシノイーグルらの他力本願組が届くほどの前崩れはなく、上位馬に関していえば、概ねその実力を出し切った好レースだといえる。

 2:00.2の勝ち時計は距離短縮後の4年間で最速であるが、一方で注目すべきは例年同時期・同距離で行われている兵庫チャンピオンシップとのタイム差だ。1.8秒というこの数字は、2010年のアルドラゴン-バーディバーディの1.9秒差に次ぐ大差である。さらにバーディバーディと異なり、コパノリッキーは自分でペースを作っての逃げ切り勝ち。さらに馬圏内の3頭はいづれも中央下がりのロートルで、中央OP特別でもまだまだ見限られなかったアルドラゴンあたりと比べるとどうにも格落ちの印象が漂う。これを園田古馬陣のレベル低下と捉えるべきか、それとも単純にコパノリッキーが強いのか。古馬生え抜き層の薄さは全国的な問題なので今更驚くのも野暮なのだが、苦労して重賞賞金だけは維持している園田すらこんなものなのかとどうしても感じてしまうねぇ。

 まあ、地元から強い馬が出たところで、大きな売り上げ増へとつながる時代でもなく。自前の重賞戦線の存在意義など、もはや一部馬主への感謝とサービス以上の意味はないのかもしれない。手持ちの駒でなんとか見ごたえのある開催とを、言う意味ではとにかく満点に近かったことだし――唯一、その金ナイターはJRAPATで売れないのが問題だが――、腹が膨れぬ夢やロマンのことなどは、ひとまず考えないこととしよう。