ユングフラウ賞

 千六と千四では展開に随分と違いがあるのだけれど、一応レース体系上は桜花賞の最重要ステップ・レースとして位置づけられているこのユングフラウ賞。昨年はクラーベセクレタがこのレースを叩きに用い、久々に本番勝ち馬輩出かと思われたが大震災で桜花賞自体がお流れに。さて晴れてSⅡに昇格した今年はどうかいうと、牡馬含めた南関クラシック最有力馬たるエミーズパラダイスは中央遠征直後で、エンジェルツイートは斤量面での負担を避けここを回避。結果的に大きな差のないB級集団が本番への出走権を争奪する、逆の意味でトライアルらしい混戦となったようである。

 そしてこのレースで展開の鍵を握るのが、ハナを切るだろう3番コテキタイ。とにかくすっ飛ばす逃げ馬で、前々走の元旦川崎など
13.0-10.8-12.0-13.3-12.6-14.1-14.5-14.1
 と大井千二でもあるまいに、2f目で10秒台を刻むというトチ狂ったラップで暴走。結果的に後続を完全に叩きつぶし、自身もへろへろになりながらの1着。強いことは強いのだが……ここは曲がりなりにも重賞であり相手は格上、しかも同じ手に何度も引っかかるお人好しが多いとも思えぬ。元々道営時代は1000m戦専用機だったのだし、速い流れを作り出しながら直線失速する姿が目に浮かぶ。

 となれば混戦だけに荒れ目を期待し、直線外から差し込める馬がアタマまで突き抜ける姿を想定するとしよう。差し手で有力なのはグラッツェーラとレイモニ。とりわけグラッツェーラは3走前のたんちょう特別が秀逸で、ラスト3fが13.1 - 12.3 - 12.8とほとんど前が止まらない中伸びて2着に迫る濃い内容。桃花賞も締まったタフなレースでこれを差せないのはある意味で仕方がなく、前走ニューイヤーカップは道中14秒を2度も挟みながら3〜4角を13.1とシャープに加速し突き放してしまったリカチャンスらの作戦勝ち。道営時代はエミーズパラダイスと大差ない着差を残しているだけに、やや不器用ではあるがここらを勝ってしまう地力の裏付けは十分にあると見る。

 先にも述べた通り、リカチャンスの前走は完全な作戦勝ち。馬体減を考えると最後の失速も大きな割引には至らず、桃花賞の走りを見る限り実力は確か。先行勢では最有力、前で粘って残るなら彼女だろう。レイモニは東京優駿牝馬の好走が光るが、ローレル賞で破れた相手のその後を見ると過大評価は禁物。ただ中央の芝でもそれなりの上がりでまとめることはできているので、末脚勝負の展開になれば無視はできまい。

 ギンザファミリアは桃花賞では大差ない上がり・位置取りでグラッツェーラに先着しているが、これは外を捲ってきた相手に対して最内経済コースを回ったアドバンテージが効いた。掲示板5頭の中では1頭見劣るレース内容で、使い詰めのここで逆転は難しいか。園田出身のアスカリーブルは、どうしても同型のリカチャンスに見劣りする。やはりあっても3着まで。


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<まとめ>
◎1番グラッツェーラ
○10番リカチャンス
▲2番レイモニ
△7番ギンザファミリア
△12番アスカリーブル

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