飛燕賞

 昨秋の九州ジュニアチャンピオンでは、マッチレースの展開となったダイリンウィークとガルホーム。その後は佐賀での走りに限っていえば、どちらもB2級で1400戦を1度走ったっきり。そしてその時計は前者の1:29.4(上がり40.0)に対して、ガルホームは1:28.4(同38.4)と圧倒的である。とはいえダイリンウィークのそれは馬体重からして遠征明けの不安を抱えてのものであり、さらに元来ガルホームは一本調子の淡白なスピード型だ。再び距離が伸びるここでは目標にされて厳しい展開が予想されるだけに、逆転の目は微妙な情勢か。なにより、ダイリンウィークの前走くすのき賞は早目早目に自ら動いていって4角出口ではあはや勝負圏内、という強さを伺わせるレースぶり。先輩ウルトラカイザーに続く優勝は達成できなかったとはいえ、地元に戻ったここならあれだけできれば十分だろう。

 だが、そのダイリンウィークと好勝負できそうな新興勢力が1頭いる。前走・筑紫野特選にて2.4秒差の大楽勝をみせたエスワンプリンスである。母馬も佐賀競馬に所属し人気薄ながらエーデルワイス賞を制する大金星を挙げた地元ゆかりの血統、気性の悪さが伺える走りで勲が乗っていた頃は競馬を教える為に前を見る競馬をしていたようだが、鮫島が好きなように走らせてみると一気に開花した印象。稍重とはいえ1800戦を58秒台前半という時計は、古馬のB1級でも十分通用する優秀な数字だ。一例を挙げるなら1月14日に行われたB2・1組戦は決まり手捲り差しで勝ち時計が1:58:6、A級戦でも1月9日のA1・2戦有明特別の勝ち時計は1:58:0(さすがに上がりはだいぶ早いが)と、時計から見た格だけならば上記2頭となんら遜色ない位置にいると考えられる。今回は展開の鍵をも握っており、ガルホームとハナを競るか再び控えてダイリンウィークと根性勝負に持ち込むか、それによってレースの形が決定される。かといって当然自由にレースを決められるわけではなく、枠からいってもすぐ内のダイリンウィークがゲート直後どう動くかに大きく左右されてしまうわけで……お互い睨みを利かせあえる三つ巴戦ともなれば、もはやこれは外野がどれだけ頭を捻ったところでどうにもならず。黙って騎手の腕を信頼するほかあるまい。おそらく当てたいのならばアタマにダイリン・エスワンの2頭を揃ってマークするのが得策、儲けたいならいったい勲と鮫島どちらの方が好きか、直感でええ加減に決めてしまってよろしい。

 そのほかの馬は既に勝負付けが済んでおり完全に勝負圏外の様相だが、あえて4番手を挙げるのならばガイヤクインだろう。前走の捲りはなかなか見事なもので、ガルホームが直線失速したところをハナっから3着狙いで差し込めば10回に1回くらいは抜けるかも知れぬ。だが配当的にかなり辛いオッズが予想されるだけに、当日よほど軽視されていなければ今回は切り捨てる。

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<まとめ>
◎3番エスワンプリンス
○2番ダイリンウィーク
▲7番ガルホーム
×8番ガイヤクイン

カンパ→ 乞食100