オッズパーク・グランプリ

 持ち回り開催で行われる競馬のレースを挙げろといわれれば、まずまっさきに名が上がるのが米国の本家・ブリーダーズカップだろう。同じくそれを模して持ち回り開催形式をとっている「和製BC」ことジャパンブリーディングファームズカップも今年で開催11回目を数えており、秋のダートGⅠ戦線の一角として完全に定着した感がある。少しばかりマイナーなところを挙げてみたいと歴史を紐解いてみると、かつて上山・公営新潟の両競馬場が存在していた頃は東北優駿・東北アラブチャンピオン・東北サラブレッド大賞典と岩手含めた3場間の持ち回り重賞が3つも存在していた。あのメイセイオペラトウケイニセイらもこれらへ出走するために他場へ遠征し、見事な勝利を収めた記録が残っている。

 それに比べてどうも影が薄い印象がぬぐえないのが、明日佐賀競馬場で5回目の開催を迎えるオッズパーク・グランプリだ。企業協賛競走といってもオッズパークの前身であるD-netの性格からして半ばオフィシャルなものであることは自明だし、1着賞金1000万円という数字も、これを超えるレースは南関重賞とダート・グレード競走を除くと道営記念だけ(昨年までは兵庫ダービーがギリギリ大台を維持していたが)。地方馬限定の全国交流重賞としては破格の高額賞金である。個人的にはもっと盛り上がってもいいイベントだと思うのだが……まあ各競馬場ごとの年末重賞に標準を合わせ調整しているこの時期に行うと、ローテーション的にどうして出走が難しいのは仕方ないよね。だがそれにしたって、今年から前哨戦であるJNBシリーズが廃止された影響もあってか、遠征馬がほぼ東海オンリ−の構成となってしまったのは寂しい限り。さすがに馬運車台くらいは出してくれるだろうし、「枯れ木も山のにぎわい」は言い過ぎにしろ、勝負は度外視でもあっちこっちから出てきてくれた方が盛り上がるのだけれど。どうせなら桐、花賞やら中島記念だの年末に行われるグランプリ級のレースをひっくるめて、大晦日にお祭り開催としてやってしまってもいい。無茶はもちろん承知だが、現状JBCやJDDはあんまりに中央勢が強すぎて、地方馬の一線級が一堂に会するレースとはなりにくいのが実情なのだから。なので、大量に新設・移設された福山重賞のうちのひとつ、西日本グランプリの趣旨なんかはとても面白いと思う。

 まあ、そんな話はひとまず置いとくとして、目先の馬券検討に入るとしようか。とはいっても、言うまでもないが1着はまずラブミーチャンで決まり。ここ2戦は番手といっても逃げ馬と併走するような形でレースを進めているが、そのレース・ラップは
東京盃(2着) 12.3 - 10.5 - 11.4 - 12.5 - 11.8 - 12.4 
JBC(4着) 12.0 - 10.4 - 11.1 - 12.3 - 11.9 - 12.4

 というもの。大井1200は2f目の加速でおおむねクラスが分かるのだが、良馬場で10秒台前半となるとこれは滅多に見られぬハイ・ペース。ましてやその中であれだけの見せ場を作ったとなれば、見せたパフォーマンスはトップクラスのそれと考えられる。小回りコースも問題なく、ここまで相手が下がるとなるとどうひねってたところで負ける姿が浮かばない。1着固定でまず間違いないだろう。日本全国の競馬場でミーチャンを走らせたいというコパオーナーの心意気に応えるような、見事な勝ちっぷりを期待したい。

さあ、問題は2着をどう考えるかだ。もちろん地元勢筆頭は前走マンオブパーサーに楽勝したウルトラカイザーだが、それと名古屋からの遠征馬、スマートブレードと果たしてどちらが上なのか実に悩ましい。中央OPから転厩後はA級中上位の中で悪くないレースを続けているし、そもそも中央時代はもう長い間ダート1200で実力を発揮してきた馬だけに、近走は適正的に万全とはいえない。10歳といっても、準OP勝ち上がりは今春の新潟だからまだまだ枯れてはいないはず。距離を短縮してきたここは、当然変わり身が期待できるだろう。一応、ウルトラカイザーもくすのき賞で僅差凌ぎきったダートムーアが準OPまで勝ち上がり、レース内容的には完封したゴールドロジャーも1000万下でやるメドがついているのだから格的には決して負けていないのだが……加えて、ウルトラカイザーはダッシュのつきにくい最内枠なのも気にかかる。ひとまず、ここはスマートブレードを上に見ることにしたい。

 基本的には上記3頭で馬券を組み立てるつもりだが、一応3着が紛れた時のことを考えておく。おなじく名古屋からの遠征馬デジタルゴールドはA級に昇格したばかりで、前走もイマイチ満足できない走り。とはいえB級では楽勝に次ぐ楽勝、持ち時計の良馬場マイル・1:41.8(上がり38.4)は立派だ。ただしここはラブミーチャンがハナを主張するだろうから逃げられない公算が大きく、自分のレースに持ち込めなければこのタイプは脆い。実際、初のOP挑戦となった秋桜OPでは想像以上の惨敗を喫してしている。今後には期待がかかる馬だが、まだまだここは見送るべきか。

 佐賀のマンオブパーサー・メイホウホップ両雄は南関時代に限れば前者が格上なのだろうが、2走前を見る限り現状では甲乙つけがたい。さらには、アリガタイがマンオブパーサーの前走の前日にまったくの同時計で駆けているもんだから、ますます話がややっこしくなる。さすがに3頭ともというのは多すぎるし……まあ、ひとまず昨年のサマーチャンピオンをはじめ距離経験で勝っているマンオブパーサーと、万一来るようなことがあれば配当的に大きいアリガタイの2頭を選びましょうか……これは、メイホウホップが来て抜けるフラグですね(笑)

―――――――――――――――――――――
<まとめ>
◎6番ラブミーチャン
○7番スマートブレード
▲1番ウルトラカイザー
△3番マンオブパーサー
△4番アリガタイ

オッズパーク内特設サイト

カンパ→ 乞食100