道営記念

 今週に入り一気に寒さが増したようで、東京でも息が白く変わる冷え込みだ。そして本格的な冬の訪れないうち、一足先にホッカイドウ競馬は2011年度のシーズンを終える。今年もその最後を飾る大一番、道営記念の季節となった。

 現在の道営競馬の人気馬といえば、もちろん昨年のホッカイドウ三冠馬クラキンコ。戦績だけでなくオーナー・ブリーダー倉見牧場の結晶ともいうべき血筋が人気に火をつけ、今回のファン投票でも見事1位に輝いている。もちろん票を分け合ったライバル、ショウリダバンザイも出走しており、この2頭の争いが見所のひとつであることは間違いあるまい。

 ・・・・・・うん、でもね。正直なところ、馬券してはどちらも非常に買いにくい。クラキンコに関して言えば、元々牡馬一線級との対戦歴がせいぜい昨年の道営記念とここ2戦くらいのもので不足気味。さらには、その前走・瑞穂賞での惨敗が問題だ。

 堂山調教師はスローからの流れが向かなかったとのコメントを出しているが、そもそもスローの力が出し切れなかったレースだったのか自体が疑問である。ラップを手測りしたところ
25.9-12.8-12.4-12.4-12.0-12.8-12.8-13.4(38.7-39.0)

 という数字。門別1800をいくつも測るのはさすがに面倒くさいので、比較対象がないのは勘弁願いたい(科学的姿勢の放棄)。一見したところゲートを出た直後こそ確かに緩いが、向こう正面で12秒前半というのはむしろ速いくらいだ。さらにマキノスパークが3コーナー前から捲っていき、12.0で飛ばしたことで一気にペースがアップ。最終的に直線最後は13秒台、先行集団にとってはタフなロング・スパートを強いられたレースと考えるのが妥当だろう。次走が他のレースならキツイ流れでの惨敗で見直せるともいえるのだが、まがりなりにもここはグランプリ。みなが勝負を駆けてきている中ペースが大幅に緩むとは考えにくく、脚質的にみても伸びきれずに掲示板まで、といったところに落ち着くのではなかろうか。

 では、本命は瑞穂賞の勝ち馬リフレックスとすべきなのか。こちらは元々、脚は一瞬しか使えないキレ味タイプである。嵌れば前走のように見事な勝ち方を見せるとはいえ、なかなか難しい馬なのも事実。力からいって馬券から切るまでの勇気は出ないが、人気も考えると今回は▲までに留めたい。

 外が伸びる今の馬場も併せて考えると、瑞穂賞で2着に敗れたマキノスパークの逆転の目に期待したい。ステイヤーズカップでもクラキンコをしっかり差し切っている。大井時代はテラザクラウドドラゴンキラリと好勝負をしていることからみても、4着だった昨年よりは確実に力をつけて来ているようだ。前走見せたように、ペースや展開を大きく問わない自在性も備えている。安定度ではこの中でもトップと見ていいだろう。

 次点として臨戦過程と調子にいささかの不安があるが、実績は十分のダイワルビアを挙げる。門別迷物・濃霧の中でチュニジアンブルーにいつの間にやら競り潰されていた赤レンガ記念を除けば、毎度OPで強い走りを見せている。宮崎騎乗で好成績を残しているだけに吉原起用には疑問符もつくが、復調さえしていれば無様なレースにはなるまい。

 エイシンイッパツも同じく、9月にはリフレックスを完封しているように気分良く逃げれば実力は確かだ。ただし中央・岩手・東海と一貫して、2000を超える距離では一気に信頼度が落ちる傾向が見られる。このメンバーの中に入ってしまうとさすがに粘るのは苦しいだろうし、△3着付けまでが妥当だろう。

 そして最後にわずかな期待を込めて、元兵庫トップ級の9歳馬ベストタイザンをヒモに加えよう。転厩後の走りは馬体重の乱高下もあり、寄る年波には勝てぬといった感は否めない。だが、今回わざわざ兵庫から坂本騎手を乗り役に起用。もっとも園田時代に、坂本がベストタイザンに乗ったことはないのだが・・・・・・ひとまず陣営の気合の現れと解釈し、またこれまでの実績に敬意を込めて馬券の一角に加えることとしたい。同様に今回は点数から自分はフォローできないけれども、一昨年の勝ち馬コパノカチドキも前がぱったり止まるようなら、今年も馬券に飛び込んでくる可能性はもちろんある。

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<まとめ>
◎9番マキノスパーク
○6番ダイワルビア
▲11番リフレックス
△7番エイシンイッパツ
△2番ベストタイザン
×1番コパノカチドキ

カンパ→ 乞食100